新兵器トルクスプリッターでドリフトが簡単に綺麗にできる!? 発売迫る次期アウディ RS3の実力とは?
掲載 carview! 121
掲載 carview! 121
アウディの高性能コンパクト「RS3」(開発コード:8PA)は2011年初夏にドイツおよびヨーロッパで発売された。2.5L直列5気筒ターボエンジンの最高出力は340psと450Nmで、0-100km/hが4.6秒、最高速度は250km/hと当時はクラスナンバーワンの性能を誇った。2015年には同じジュネーブで2世代目のRS3(開発コード:8VA)が登場、その2年後にエンジン出力を367ps/465Nmから400ps/480Nmへとパワーアップして現在に至っている。
ところが、今年の3月にアウディ社長のマルクス・ドゥスマンは2026年から内燃エンジン(ICE)搭載のニューモデルは販売しないこと、さらに2033年までにはICE搭載モデルの生産を順次中止していくと発表。例えば、2020年から市場投入されているRS3のベースとなる現行「A3」も後継モデルは存在しないという。
そんなことからRS3の存続が危ぶまれていたが、今年7月に後継モデル(開発コード:8Y)の存在が発表されたのだ。そして今回、待望の試乗会がギリシャのアテネで開催された。
新型RS3はフロントでは立体的なハニカムグリル、チェッカーフラッグがレイアウトされたLEDヘッドライト、リアでは2本の楕円形大径エグゾーストパイプ、そしてRS専用デザインのディフューザーなどでオーラを漂わせている。
スポーツトリムで仕上げられたインテリアは標準でRSロゴ入りのスポーツシートが備わるが、試乗車はオプションのハニカム模様のバックスキン仕様だ。ステアリングホイールはフラットボトム形状で、12時の位置にはボディカラーに合わせたマーキングが施され、スポーク部分には新たにRSドライブモードスイッチが設けられている。
バーチャルコックピットは基本的にはAクラスと同じだが、グラフィックとメニューはRS特製でGメーターやシフトインジケーター、あるいはギアオイル&冷却水温度計が加わっている。
2日間にわたる試乗会は3つのパートに分けられており、最初の試乗はアテネとその近郊の一般道路を走った。
直列5気筒エンジンの独特なビートを伴いながらギリシャの高速道路を巡行する。推奨速度の130km/hまでは瞬時に達し、スロットルペダルの余裕から想像するに最高速度の290km/hも単なるカタログ値ではなく、ある程度の平たん路があれば到達可能だと感じる。もちろん高速でのスタビリティは文句なし。この程度の速度ならいたって快適で、ロングツーリングも全く問題ない。
最初の日の一般走行のあと、休む間もなくかなり広い駐車場のような場所に案内された。そこはプレスカンファレンスで説明されたトルクスプリッターを実体験する場所だった。
まずは40km/hで円周路を周回、インストラクターの合図でフルスロットを与える。するとトルクはリア方向、正確にはコーナーの外側のタイヤへ最大で100%伝達され、自分でも驚くほど簡単に、そしてきれいな姿勢でドリフト態勢に持ち込むことができた。しかもこの状態で大げさなカウンターステアを当てる必要がないのだ。それを可能にしているのはこのシステムがエンジン特性と協調しているので、ドライバーはスロットルワークに専念しているだけで良いからだろう。
午前中の座学では中々ピンとこなかったが、実体験は紙の上の知識を遥かに超えることを改めて実感する。スポーツモデルを自在に操ることを可能にしたこの新しいシステムに敬服した。
2日目はアテネ郊外、西へおよそ35kmの位置にあるアテネサーキットでのスポーツ走行である。ここに現れたRS3は、シリーズとして初めてオプションで用意されるセミスリックタイヤの「ピレリ Pゼロ トロフェオ R」が装着されていた。
サーキットブリーフィングの後、アウディのワークスドライバー、フランク・シュティップラーがドライブするペースカーに続いての高速カルガモ走行である。
ドライブモードをサーキット用にプログラムされた「RSパフォーマンス」にセットすると、昨日テストしたRSトルクリアモードと同じようにアイドリング回転数がやや高くなり、Sトロニックも各ギアのシフトアップまでの時間が長くなる。
スポーツ走行はかなりのハイペースだったが、先日のドリフト訓練のお陰でトルクスプリッターの特性が頭に入っているので、スロットルワークとステアリング操作に無駄がなく、まるでワンランク腕が上がったように先行車に追従することができた。
前述のセミスリックタイヤのグリップ力によって、ほぼすべてのコーナーでかなりスピードにも関わらずニュートラルステアを維持できる。コーナーを脱出してストレートへ向かう際の胸のすくようなエンドレスな加速フィールは、自分がまるでツーリングカードライバーになったような気持の良さだった。
ファイナルエディションとも言える新型RS3は、一般道路でもサーキットでも高い完成度と熟成を見せ、久々に内燃エンジン搭載モデルらしい楽しさを満喫することができた。
価格はスポーツバック(5ドアハッチバック)が6万ユーロ(約770万円)、セダンは6万2000ユーロ(約800万円)と決して安くはないが、5気筒ターボエンジンを搭載した稀有なハイパーハッチ、ハイパーセダンであることを考えれば投資する価値は十分にあるとういうのが、この2日間で得た感想だ。ドイツでは10月の末からだが、日本での発売は2022年の初頭と発表されているから、思い悩む時間はまだ十分に残されている。
レポート:Alex Ostern/Kimura Office
写真:Kimura/Office
※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
夢のように走った「RR」 3台のワークス・シュコダ 130/フェイバリット/120 ラピッド(2) クラス優勝の常連
東欧の「ポルシェ」 刺激的だった廉価ブランドのRR シュコダ130/フェイバリット/120 ラピッド(1)
あまり重いと走行不可能! 重い積み荷の巨大トラックは「何トン」まで公道を普通に走ってOK?
ホンダが認証不正で会見 対象車種の累計販売は325万台 「遵法性の意識に大きな問題」
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
新デザインになった「ゆるキャン△ピングカー」イベント展示とオフィシャルグッズ販売が決定!
エステバン・オコン、今季限りでアルピーヌを離脱「次の計画はすぐに発表する」
ルノー「カングー」でこだわりの趣味を満喫!最長1年間貸与のモニターキャンペーン第3弾
シボレー「コルベット E-RAY」発表 史上初の電動化&AWD車 加速性能は歴代最速に
ホンダ、新エアロにより最高速は向上も残る課題。新エンジン投入はサマーブレイク後の見込み/第7戦イタリアGP
ザ・ニッポンの高級車の進化──新型トヨタ・クラウン・クロスオーバー試乗記
トヨタの豊田章男会長、不正発覚で陳謝 「間違いをした時は一度立ち止まる」 認証プロセス管理の仕組みは年内に構築
ステップワゴン、ZR-Vなど4車種が価格改定 原材料価格と物流費が影響
【販売店も確信】次期「デリカD:5」やはり開発中。独自ボディとPHEV化で「デリカD:6」を名乗る?
“想定外”が頻発する耐久の現場。技術開発に留まらない、トヨタが水素で挑戦するワケ【S耐富士24hレース】
【そもそも買えるの?】ランクル300と250、レクサスLXとGX。“最強に買い”なモデルとは
【228万円】一番安いのに装備が充実…? 「マツダ3 ファストバック 15S」はアリかナシか
売れてる軽EV「サクラ」がライラック×黒の乙女系2トーン追加や仕様向上。価格は約4~5万円上昇
こっちが本命? ノートクロスオーバーがデザイン一新。タフ感強調で本家よりアリかも…?
【電動ツインブースト!】新型「911」の目玉はハイブリ搭載「GTS」。加速が大幅進化の理由
ヒロミ絶賛の乗り心地、電動トノカバー高すぎ!? 発売から3ヶ月経ったトライトンのユーザー評価は?